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墨のできるまで
 
 1.

原料としての煤、即ち油煙は麻油、胡麻油、菜種油を素焼きの皿に入れ、特殊な形に編んだ燈芯を浸し点火して、立ちのぼる油煙を皿の蓋に付着させ、羽ぼうきで絶えず掃き落として集めます。上質の油煙は細い燈芯を点し、粒子の細かい煤を採取します。少量ずつしか採取できないうえ、時間と手間がかかるので高価なものになります。現在は自動採煙機(別名チャンネル)でも採取しており、廉価な墨はチャンネルで採取した煤をしようします。
 
採煙 採煙
 2.

牛・豚等の獣皮の内皮から採った膠を湯煎しながら溶解し、それを細絹で十分にこします。この膠は製墨とは別な専門業者で製造しています。現在は良質な膠を製造している所が少なく、入手が困難になっています。
 
膠 膠
膠 膠
 3.

煤を膠に混合することを「練り合わせ」と言います。以前は密室で炉に小さい火を点し、その上に大きな杉板を置き、煤一斤(約600グラム)を板の上にひろげてよく溶いた熱膠八両(約240グラム)を煤の中にいれうどんをこねる要領で団子状に揉み合わせます。さらに香料を加え、更に力を入れ揉むと次第に光沢がでてきます。それを三個に分けて団子状にし、二つは懐中にいれて保温し、残りの一つを更によく揉みます。現在は機械(パンをこねる機械のような物)を使ってこねているので比較的楽になりましたが、昔はかなりの重労働だったようです。香料は龍脳、麝香を主に用いていますが、大変高価な物のため多くは人工合成した龍脳、麝香等を用いています。なお、墨色の黒を強調するため紅などを入れることもあります。
 
練り合わせ 練り合わせ
練り合わせ 練り合わせ

 4.


次に型に入れます。遠い昔、墨の型は鉄で作りましたが、現在は枇杷・梨の木を使用しています。大小厚薄様々ですが、板三枚の内、中の板は墨の厚さと同じくし、上下二枚の板に絵模様・文字等を彫り付けます。その型に目方を一定にした分量の良く揉んだ墨を入れ圧力をかけて型入れします。
 
木型 型入れ

 5.


一定時間型に入れて放置した後、型から取り出して灰の中に入れます。この灰は雑物のまざっていない灰で、この灰を木箱(灰槽)の中に敷き、その上に柿渋で染めた和紙を敷いてその上に墨を並べて置き、更にその上に柿渋染めの和紙をかぶせて更に灰をかけて風のない所に置きます。灰替えと言って毎日この灰を替えます。最初は湿り気のある灰を用い、だんだん乾燥した灰を加えていきます。灰に入れて一日経ってから墨の角に残っている型のバリ(型からはみ出した縁)を小刀などで削りとります。この削りとった墨は「削り墨」として使われています。季候などによりますが、小さい墨は7〜10日間この灰替えをします。大きい墨(十挺型など)は30〜40日この灰替え作業をつづけます。墨は急激な乾燥は禁物ですので、気温・湿度に応じた長年の経験が必要になってきます。
 
灰乾燥 灰乾燥
灰乾燥 灰乾燥